ヒバリのこころ

何者かになれるか365日

平成の、あなたとわたしの銀杏BOYZ

平成最後の夜(厳密に言えばちがうけど)に、銀杏BOYZの話をしたいです。

峯田和伸さんというと、最近では、あのドラマの人ね、あのちょっと変わった人か、というような声もちらほらと聞こえてきますが
彼が銀杏BOYZというバンドのボーカルをしていることは有名でしょう。


平成5年生まれ、平成に青春を過ごしたわたしが銀杏BOYZの音楽に出会ったのは中学生でした。
はじめて聞いたときの率直な感想は「なんて汚い、下品な人たちなんだろう」でした。
ミネタの甘いような吠えているようなあの声もノイズみたくかき鳴らされた音たちも、男子高校生の日記を覗いてしまったかのような歌詞も、すべてがわかりませんでした。

そんなわたしが高校生になり、大好きなYUKIちゃんの参加している 「駆け抜けて性春」 を改めて聞いてみよっかなと、ウォークマンのカーソルをとっても久しぶりに銀杏BOYZの欄に合わせたときのこと。
自分でもよくわからないくらいに、銀杏BOYZの音楽が、身体中に染み込んでいきました。
染みた音楽はやがて涙腺を刺激して、わたしは訳もわからず電車に揺られながら涙を流していました。

銀杏BOYZの歌は、平成のたくさんを切りとって声にしているかのようです。
倖田來未乃木坂46速水もこみち綾野剛壇蜜とけみお、エロと清楚と熱さと冷たさ、スローライフとスピード
沢山のカオスが駆け抜けた平成のひとつひとつを、銀杏BOYZは大切に一人のための歌にしてその時間を録音しています。

あなたがいるこの世界、あなたが死んでしまうかもしれないこの世界、あなたを殺したいこの世界、あなたが援助交際をしているこの世界
救えないあなたと、救えるあなた、救う勇気がない僕と救いたい僕
平成のカオスと平成のゆらゆらと、弱さと強さとめまぐるしい時代を、わたしは銀杏BOYZを通して感じました。

ミネタはいつでも、わたし達銀杏BOYZのユーザーに本気で向かい、失神するくらいの愛を注ぎ、平気で唾を吐きかけます。
プライベートのミネタはもちろん知りませんが、わたしが知りたいミネタはそれだけで十分です。
ライブでは、インスタグラムやiTunesでは出会えないミネタのまごころに、触れることができるのです。
ミネタは「あんたたち」に歌いかけません。ミネタが歌いかけるのは「あんた」だけです。
普通に生活していたら、きっと交わることのないあなたとわたしの人生を、ミネタは一瞬にしてあなたのものに、わたしのものにしてしまうパワーがあります。

殺したい、殺してほしい
生きたい、生きてほしい
たくさんの思い、たくさんの人、たくさんの考え
何もかもが飽和状態の、この生きづらい平成の世に。
この世のあなたとわたしはそれでも生きる、という行動を見出した銀杏BOYZは、わたしにとって平成を彩ったアーティストです。

銀杏BOYZはよく「青春」と言われますが、個人的にはその表現は好きではありません。
青春という言葉では抑えきれないような、少年の激動、青年の葛藤、中年の哀愁まですべての平成を閉じ込めた銀杏BOYZの音楽。


この時代が終わっても、わたしは銀杏BOYZのことがきっと一緒大好きです。
いつか銀杏BOYZを聞かなくなっても、わたしが平成を生きてきた証として、銀杏BOYZの歌は一生背負い続けることになるでしょう。


次の世代は銀杏BOYZの歌が響くのでしょうか。
ニューウェーブなEDMが流行している世の中、わたしもあなたも銀杏BOYZをいつか聞かなくなるかもしれません。

願うことは、平成を生きたあなたもわたしも、平成以降を生きるあなたもわたしも
素晴らしい世界が見えますように。


追伸
峯田和伸さんに敬意を評して、あえてミネタと表現させていただきました。
お許しください。

※noteに投稿した文章を再掲しています。